動物好きの子どもと泊まる農家民宿。ヤギ、鶏、犬、ナマズと暮らす「農家民宿 村の宿・丹波」
「動物が大好きな子どもを、自然の中で思いっきり遊ばせたい」
そんなご家族には、村の宿・丹波はなかなか相性がいいと思います。
村の宿・丹波は、兵庫県丹波市にある1日1組限定、一棟貸しの農家民宿です。ここには、鶏、ヤギ、犬、そして庭の池にはナマズがいます。
ただし、動物園のように「動物を見るための場所」ではありません。ここにいる動物たちは、それぞれ暮らしの中で役割を持っています。
卵を生み出してくれる鶏。
草刈りを手伝ってくれるヤギ。
鶏や家族を守ってくれる犬。
そして、食料にもなるナマズ。
村の動物は、単に「かわいい」だけではなく、人間と一緒に暮らしをつくる仲間です。
■ 日本では珍しい、放し飼いの鶏たち
村の宿・丹波では、およそ50羽(時期によって異なります)の鶏を放し飼いにしています。

日本では採卵鶏のほとんど(9割以上)が、1羽あたりB5用紙1枚ほどのスペースしかない狭いケージの中で飼育されていて、平飼いや放し飼いなどのケージフリー飼育はごくわずか。調査によっては数%、羽数ベースでは1%程度という報告もあります。
欧州では動物福祉の観点から従来型のバタリーケージを禁止するなど、ケージ飼育を減らす方向に進んでいます。一方日本では、鶏が地面を歩き回り、止まり木まで飛んでいける、そうやって自分の好きな場所へ移動できる環境そのものが、まだまだ珍しいものなのです。
さて、放し飼いと聞くと、「そこらじゅうに卵を産んでいるの?」と思われるかもしれませんね。でも実際は違うんです。
鶏には、少し高くて、暗くて、狭い場所で安心して産卵したいという本能があります。だからその本能に合わせて、少し高くて暗くて狭い産卵箱を鶏舎内に用意してやると、放し飼いをしていても、たいていの鶏は外から戻って来て箱の中で産んでくれます。
午前中に産卵箱をのぞいて卵を集めていると、まだ温かい卵が入っていることもあります。スーパーに並んでいる卵しか知らない子どもにとって、「卵って鶏がこうやって産んでるんや」という当たり前のことが、意外と新鮮な体験になります。

■ 地域社会の「捨てるもの」が、卵になって戻っていく
鶏たちの餌にも、この村らしい循環があります。
自宅からだけでなく、地域の飲食店から出る調味前の魚のアラや出汁ガラなど、本来なら廃棄される食材を鶏の餌として活用しています。

それを鶏が食べ、卵を産む。そして、その卵をまた地域の飲食店へ還元する。
「飲食店から出たものが鶏の餌になり、卵になって飲食店へ戻っていく」
そんな小さな循環が、村の中で生まれています。
ごみとして捨てるのではなく、次の命や食べ物につなげる。これも、私たちが目指している食の自給や地域循環の一つです。
■ 卵を産まなくなった鶏は、最後にいただきます
ただし、村の鶏たちはペットではありません。卵を産んでくれている間は、その卵をいただきますが、年齢を重ねて、ほとんど卵を産まなくなれば、最後は鶏そのものをお肉としていただきます。
かわいいから大切に育てる。できるだけ鶏らしく、自由に暮らしてもらう。その命から卵をいただく。そして最後には、その命そのものをいただく。
そこまで含めて、食料を自分たちの手で生み出す暮らしだと思っています。

■ 除草スタッフ、トカラヤギのルルちゃん
村にはトカラヤギの「ルルちゃん」も暮らしています。ヤギは、かわいいから飼っているだけではありません。田舎の野良仕事は、とにかく大変です。特に夏場は、刈っても刈っても草が伸びてくる。
そこでルルちゃんにも、せっせと除草を手伝ってもらっています。草を食べてくれるヤギは、私たちにとって立派な暮らしのパートナーです。

ちなみに、
「鶏は最後に食べるんやったら、ルルちゃんも最後は……?」
と思った方。
食べません(笑)
ルルちゃんは食べません。ルルちゃんはルルちゃん。名前がついている動物は、食べられません。
■ 鶏を守る番犬、シンバ
ヤギと同じスペースには、我が家の番犬「シンバ」もいます。ぱっと見は人懐っこい黒いラブラドールのようですが、実は甲斐犬とのMIXです。

甲斐犬は、もともと南アルプス周辺の山地で、カモシカやイノシシなどを追う猟犬として活躍してきた日本犬です。そんな血が入っていることもあってか、シンバは家族にはとても忠実ですが、外から来るものへの警戒心はかなり強めです。
そんな彼の大事な仕事は、鶏たちと我が家を守ること。
田舎で鶏を放し飼いにしていると、キツネやタカなどの野生動物に襲われることがあります。うちの場合は特にキツネ。これまで100羽以上、キツネに殺られてきました。その都度対策を講じるのですが、その度にこちらの対策を上回ってくる「キツネとイタチごっこ」。ヤツらも生きるのに必死ですからね。
そこで2025年から我が家にやって来たのが、番犬シンバです。
シンバがここで暮らすようになってから、キツネに鶏を襲われる被害はかなり減りました。
夜は自宅の中で家族と過ごしますが、昼間は広いスペースを自由に走り回りながら、鶏たちを見張っています。
それはいわば、毎日が大きなドッグラン。番犬として役割を持ちながら、昼間は広い場所を思いきり走り回る。少なくとも、狭い場所に閉じ込めて飼うより、シンバにはこっちの暮らし方が合っているように見えます。
■ シンバも、丹波の恵みを食べています
シンバには市販のドッグフードは与えていません。主食は鹿肉です。丹波で獲れた鹿のうち、人間の食用として利用されない部位。それに有機野菜などを組み合わせた食事を与えています。
鹿も、地域では増えすぎると農作物への被害につながる存在です。その鹿を捕獲し、人間の食用となる部位だけでなく、これまで利用しにくかった肉を犬の食事として活用する仕組みが、丹波市にはあります(実は、父がそんなドッグフード製造会社を立ち上げ、今は義兄が経営しています)。
シンバは、鶏を守る役割を果たしながら、丹波の鹿を食べて生きる。これも、地域にあるものをできるだけ無駄にせず、暮らしの中で循環させる方法の一つだと思っています。
ただし、シンバは番犬です。
黒ラブっぽい見た目をしていますし、我々家族にはとても忠実ですが、知らない人には警戒しますし、場合によっては噛む可能性も否定できません。
宿泊される方にはこちらから接し方を説明しますので、勝手に近づいたり触ったりせず、まず声をかけてください。
動物にも、それぞれの性格と役割と距離があります。
■ 庭の池では、ナマズも飼い始めました
2026年9月から、庭の池ではナマズを飼い始めました。
ナマズは、釣ったり、網で捕まえたりすることができます。

実際に触ってみると、まず驚くのがあの「ぬるぬる」。ナマズの体は粘液で覆われていて、この粘液には体を守ったり、体表を滑らかにしたりする役割があります。
写真で見ているだけでは、あの感触はわかりません。捕まえて、触って、初めてわかることがあります。
ナマズも、ただ観賞したり釣りのアクティビティを楽しむためだけに飼っているわけではありません。いずれは、自分たちで育て、増やし、食べるところまでつなげたいと思っています。
村には清潔な地下水が豊富にあり、小さな池が4つあるので、ナマズの養殖も考えています。目指しているのは食料の自給です。
いつかは、庭の池で育てたナマズを使って、「うなぎの蒲焼ならぬ、ナマズの蒲焼」を村の名物にしてみたいと思っています。
■ 自由に生きたいから、動物にも自由に生きてもらいたい
ここまで書くと、「この村は動物福祉を売りにしているの?」と思われるかもしれません。
確かに、できるだけ動物がその動物らしく生きられる環境にはしたいと思っています。でも、出発点はもう少し単純です。
それは、私自身が、できるだけ自由に生きたいから(笑)
だから鶏にも、狭いケージの中ではなく、走り回って土をつついて生きてもらいたい。トカラヤギのルルちゃんにも、好きな草を食べながらのびのび暮らしてもらいたい。シンバにも、ヘルシーな物を食べて昼間は走り回りながら、自分の役割を果たしてもらいたい。
動物を人間の都合だけで管理するのではなく、できる範囲で、その動物らしく生きてもらう。
それが、この村の暮らし方です。
そして、その考え方は宿泊されるお客さんにも同じです。村の宿・丹波は、ルールでがんじがらめにして、決められた時間に決められたことをしてもらう宿ではありません。
動物を眺めていてもいい。
BBQしてもいい。
薪サウナに入ってもいい。
夜遅くまで焚き火を囲んで談笑してもいい。
何もせず、ぼーっとしていてもいい。
できるだけ自由に過ごしてもらいたいと思っています。
■ 18歳未満を宿泊無料にしている理由
村の宿・丹波では、18歳未満のお子さんの宿泊料金を無料にしています。その理由は、子どもたちにもいろいろな生き方があることを知ってほしいから。「こんな生き方もアリなんや」と、生き方の選択肢を持って帰ってほしいからです。
大人になったら会社員になって、給料をもらって、必要なものを買って暮らす。もちろん、それも一つの生き方です。
でも、それだけではありません。
鶏を飼って食べ物を生み出してもいい。
薪を割って熱を生み出してもいい。
太陽から電気を生み出してもいい。
自分たちで何かをつくりながら生きてもいい。
子どものうちに、そんな暮らしを一度でも見ておけば、将来もし仮に行き詰まった時に、「あ、あんな生き方もあったな」と思い出して活路を見出せるようになるかもしれません。
一人でも多くの子どもにそんな無形資産を手渡したいから、子どもが2人でも、3人でも、4人でも、18歳未満は宿泊無料にしました。
■ 人生DIY ~自分の人生を、自分でつくる~
私たちはここで、食とエネルギーと教育を、自分たちの手でできるだけ生み出しながら暮らしています。
そのテーマを、私たちは「人生DIY」と呼んでいます。
自分の人生を、自分でつくる。
鶏も、ヤギも、犬も、ナマズも、それぞれの役割を持ちながら、できるだけその動物らしく生きる。
人間も、誰かが決めた生き方に合わせるだけではなく、自分で暮らしをつくる。
そして宿泊されるお客さんにも、ここにいる間は、できるだけ自分らしく過ごしてもらう。
農家民宿 村の宿・丹波は、そんな宿です。
農家民宿 村の宿・丹波
兵庫県丹波市山南町南中115-6
1日1組限定・一棟貸し・定員10名
大人16,500円(税込・素泊まり)、18歳未満は宿泊無料です。
放し飼い鶏の採卵、ヤギとのふれあい、ナマズ捕り、薪割り、焚き火、BBQ、薪サウナ、水風呂などを体験できます。敷地内に手打ちそば木琴あり(営業日:木金土日)
大阪・神戸から車で約1時間半
中国自動車道滝野社ICから30分
丹波竜化石工房「ちーたんの館」まで車で約10分
予約は2日前まで・予約フォームはこちら。
カテゴリー:村長ブログ
投稿日:2026年09月09日